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広島家庭裁判所 昭和50年(少イ)2号 決定 1975年10月28日

被告人 今西康弘

主文

被告人を懲役一年に処する。

この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、かねてから広島市内の暴力団共政会に所属し、その配下の組員であるが、吉田富雄と共謀のうえ、昭和五〇年七月一八日午後一一時三〇分頃、広島市昭和町八番一号旅館「ホテル紅」において、数日前から家出して前記暴力団の幹部酒井世見方に寄宿しているM・E子(昭和三三年八月一六日生)が満一八歳に満たない者であることを知りながら、同女に売春行為をなすよう強く申し向け、売春婦として氏名不詳の男(当時三〇年位)に紹介し、同女をして売淫するにいたらしめ、もつて、売春の周旋をするとともに児童に淫行をさせる行為をしたものである。

(証拠の標目)(編略)

(法令の適用)

被告人の判示所為中、児童に淫行をさせた行為は刑法六〇条、児童福祉法六〇条一項、三四条一項六号に、売春の周旋をした行為は刑法六〇条、売春防止法六条一項にそれぞれ該当するが、右は一個の行為で二個の罪名に触れる場合であるから、刑法五四条一項前段、一〇条により一罪として重い児童福祉法違反の罪の刑で処断することとし、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右の刑の執行を猶予することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 安次嶺真一)

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